美しい弱音から鋼のように力強い大きな音まで、多彩な音色で音楽を表現できるのがピアノという楽器の大きな特徴です。

些細な音色の変化をつけるには指先の打鍵スピードや力加減など、一音一音ごとに鍵盤のタッチコントロールが必要ですが、それ以前の問題として「ピアノを弾くための座り方」が重要になってきます。

モスクワ音楽院附属の中央音楽学校で学ぶ子ども達は、高めの椅子に浅く腰掛けてお尻を引っ掛け、足(ペダル)で踏ん張り重心を前にかけ、身体の力を使ってピアノを響かして弾いています。小さな子どもでも楽器を鳴らせています。

椅子に深く腰掛け、足台を高くしたままでどっしり座っているとピアノと身体が離れてしまい、鍵盤をただ撫でるようにフニャフニャ単調に弾いてしまうことになります。指はよく回っていてもこれでは音が響かず、非常にもったいない!

また、足をブラブラ浮かせたり、後ろで組んだり、足を前にだらしなく真っ直ぐのばして座って弾いていると重心が後ろにいってしまい、いつまで経っても良い音が出せません。

ピアノの椅子は腰をかけて休むためのものではなく、ピアノを弾くために身体を支える道具である。

私のレッスンでは、幼い導入期の生徒さんを除き、足台は少し低めにし、成長に応じて早めに足台を外すようにして、体幹をしっかり保って弾けるよう、姿勢に大きく注意を払っています。自然にできる子もいれば、油断するとすぐ足を浮かせたり、伸ばしてしまう子もいるので、毎回根気強く注意し続けています。

体幹を保ってこそ、指や腕の力だけでなく、身体の重みでピアノを響かすことができ、脱力もしながら様々なタッチで音色の変化をつけることが可能になってくるのです。

モスクワ音楽院という世界最高峰の環境の中で、実際に学んできたロシアンピアニズム、ロシアンメソッドと日本の音楽教育の良いところを取り入れて、内容の濃いレッスンを楽しく行っています。